こんにちは!大塚@社会保険労務士です。
「うちも、そろそろ賃金制度を整えないとな」
そう思ったことはありませんか?
- 毎年なんとなく昇給を決めている
- 人によって基準がバラバラな気がする
- でも、どこから手をつければいいかわからない
そう思っているうちに、気づけば何年も経っている。そんな会社がほとんどではないでしょうか。
その気持ち、よくわかります。目の前の仕事は待ってくれませんから。ただ、後回しにしている間も、社員は自分の給与を見ています。しかも、社長が思っているのとは違う見方で。今日はそんなお話です。
目次
①社員が見ているのは金額だけではない
②問題は差ではなく説明できないこと
③制度をつくる前にやることがある
④まとめ
①社員が見ているのは金額だけではない
社員が給与を見るとき、単純に「月給25万円だから高い・安い」と判断しているわけではありません。
たとえば、
「同じような仕事をしているのに、あの人の方が高い」
「自分の方が長く働いているのに、後から入った人とあまり変わらない」
「求人を見たら、近くの会社の方が給料が高かった」
こんなふうに、自分の給与と何かを比べながら見ています。そして、比べる相手は、同僚だけではありません。後から入った社員、年下の社員、他部署の社員、前職の給与、近隣企業の求人など、比較する材料はいくらでもあります。
特に今は、求人サイトを見れば他社の給与も簡単に確認できます。だから会社としては、「この金額を払っているから大丈夫」ではなく、社員から見たときに、その金額に納得できる理由があるかまで考えておく必要があります。
ここで大事なのは、給与が高いか低いかだけではありません。その差に本人が納得できなければ、不満を口にする人もいれば、何も言わずに転職を考え始める人もいます。
②問題は差ではなく説明できないこと
ここで誤解しないでいただきたいのは、給与に差があること自体は問題ではないということです。経験も、責任も、成果も違うのですから、差があるのはむしろ当然です。
問題なのは、その差の理由が本人に伝わっていないこと。
「あの人は自分より経験が長いから」
「あの人は責任のある業務を任されているから」
理由わかっていれば、多くの人は納得するでしょう。ところが説明がないままだと、社員は自分なりの解釈を勝手につくり始めます。
「社長のお気に入りだから」
「声を上げた人だけ得をするんだ」
この誤解が、社内の空気を静かに悪くしていきます。しかも本人は口に出さないので、社長は気づけません。
よくあるのが、辞めると言い出した社員を引き止めるために給与を上げるケース。その場はしのげますが、周りの社員はしっかりと見ています。「言った人だけ上がるのか」と。
こうして、また別の不満が生まれていきます。つまり必要なのは完璧な制度ではなく、説明できる基準なのです。
③制度をつくる前にやることがある
賃金制度づくりは、確かに大変です。手間もかかりますし、正解もわかりにくい。
ですが、先送りするほど状況は難しくなっていきます。人数が増えれば事情は複雑になりますし、不満が積み重なった後では「今さら何を」という空気も生まれます。
とはいえ、いきなり立派な制度をつくる必要はありません。まずやるべきは、社員一人ひとりと話をして、本音を拾うことです。
- 今の評価に納得できているか
- どこに不公平を感じているか
- どうなれば納得できるか
実際に聞いてみると、意外な答えが返ってくることがあります。
「給与が不満」と言っていた人の本当の理由が、実は「きちんと見てもらえていない」ことだった、というケースは珍しくありません。
だとすれば、必要なのは制度改定だけではない。日々の声かけや気に掛けあげることも同じように重要だということです。
原因を確かめないまま制度だけを作り変えても、的外れなものになる可能性があります。時間とお金をかけたのに、社員の不満は残ったまま。これほどもったいないことはありませんよね。

④まとめ
最後に今日、お伝えしたことを整理します。
- 社員は金額だけでなく、周りとの比較で給与を見ている
- 差そのものではなく、理由が伝わらないことが不満を生む
- 制度をつくる前に、まず社員の声を聞く
給与のことは、社員からはなかなか言い出しにくいものです。だから、「何も言われていないから大丈夫」とは限りません。
まずは社員一人ひとりの給与を見ながら、
「なぜこの金額なのか」
「なぜこの人とは差があるのか」
「次に給与が上がるのはどんなときなのか」
などを会社として説明できるか確認してみてください。そのうえで、社員が今の給与をどう感じているのかを聞いてみる。
立派な賃金制度をつくることより先に、「今の給与を説明できる状態」にしておくこと。そこから始めても十分な前進だと私は考えます。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

