こんにちは!大塚@社会保険労務士です。
「これを言ったら、ハラスメントになるかな」
社員に何かを伝えようとして、そう思って口をつぐんだことはありませんか?その気持ち、めちゃくちゃよくわかります。
ニュースでハラスメントの話題を見るたびに、自分の言動を振り返ってしまう。昔なら普通だった指導が、今は違うのかもしれない。そう考えると、何も言えなくなってしまいますよね。ですが、気にするあまり指導を控えてしまうと、相手の成長する機会を奪うことになります。結果として、育たないまま辞めていく。これでは、せっかく採用した意味がありません。
今日は、この難しいバランスについてお話しします。
目次
①言わないことも、リスクになる
②大切なのは、相手への配慮
③基準は社内で揃えておく
④まとめ
①言わないことも、リスクになる
まず知っておいていただきたいのは、何も言わないことにもリスクがあるということです。
たとえば、新人が同じミスを繰り返している。気づいてはいるけれど、強く言って傷つけたら困るので、やんわりとしか伝えない。
本人はどうなるでしょうか。
「これでいいんだ」と思ったまま仕事を続けます。そして半年後、取引先から苦情が入って初めて問題が表面化する。そのとき指摘されても、本人からすれば「なぜ今さら」となってしまいます。
あるいは、周りの社員はどう感じるでしょうか。
「あの人だけ注意されない」と不公平に感じるかもしれません。放置されていることで、職場全体の基準が下がっていくこともあります。つまり、指導しないという選択は、本人にとっても周囲にとってもプラスになりません。
②大切なのは、相手への配慮
とはいえ、何でも言っていいわけではありません。判断のもとになるのは、そこに相手への配慮があるかどうかです。
たとえば、注意や指導をするとき。
- 感情にまかせて言っていないか
- 理不尽な要求になっていないか
- 尋問のように問い詰めていないか
- 相手の尊厳を傷つけていないか
あるいは、異性の社員と接するとき。
- 下心が混じっていないか
- プライベートに踏み込みすぎていないか
同じ内容でも、配慮があるかないかで受け取られ方はまるで違ってきます。たとえば「この資料、間違ってるよ」という指摘ひとつとっても、みんなの前で言うのか、席に呼んで個別に伝えるのかで印象は変わります。
忙しいときに舌打ちしながら言うのか、手を止めて向き合って伝えるのか。内容は同じでも、相手が受け取るものは全く別物です。
③基準は社内で揃えておく
やっかいなのは、どう受け止めるかが人によって違うことです。ある人が平気なことでも、別の人にはつらいことがあります。同じ言葉でも、言う相手や場面によって意味が変わってしまう。だからこそ、会社としての基準を決めておく必要があります。
何がよくて、何がいけないのか。問題が起きたとき、誰に相談すればいいのか。
できればマニュアルにまとめて、朝礼や研修の場で共有しておきましょう。立派なものでなくて構いません。A4一枚でも、基準が明文化されているだけで全く違います。
基準が曖昧なままだと、注意する側も「これは言っていいのか」と迷い続けます。その迷いが、指導の機会損失につながるのです。逆に基準があれば、堂々と指導できます。「うちではこういう基準でやっている」と言えることは、指導する側の支えにもなります。

④まとめ
働きやすい職場をつくることは、社員のためだけではありません。長く活躍してくれる人が育ち、定着ような会社になれば、自然と人が集まります。ハラスメントを恐れて何も言えない職場より、配慮を持って率直に伝え合える職場の方が、結果的に人は育ちます。
まずは、社内の基準を言葉にすることから始めてみましょうか?
以前、私が運営するお店で、責任者とアルバイトの間で伝え方と受け取り方をめぐるトラブルがありました。正直に言うと、当時の私は「なぜそんな受け取り方をするのか」と、責める気持ちを持っていました。
ですが今は、受け取り方は人それぞれである以上、現場の事例をひとつずつ積み重ねていくことが、リアルな理解と対策につながるのだと思っています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


