こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

「あれ?ほとんど自分が喋ってたな…」

面接が終わった後、ふとこう思ったことはありませんか?

特に社員数30人くらいまでの会社では、人事担当者がおらず、社長自ら一回の面接で合否を決めるケースが多いですよね。だからこそ「うちの会社に来てほしい」という想いが強く、つい自社の説明に熱が入りすぎてしまう。

そのお気持ちはよくわかります。

ですが、面接はプレゼンの場ではなく「相手の本音を引き出す場」です。社長が話せば話すほど、応募者の発言量は減り、見極めの材料が圧倒的に不足していきます。

面接はいわば「健康診断」のようなもの。問診もそこそこに、こちらの話ばかりしていたら相手の状態はわからないままです。どんなに熱心に自社の魅力を語っても、肝心の「この人はうちに合うのか?」がわからなければ、面接をした意味がありません。

今回は、面接で社長が話しすぎることのリスクと、限られた時間で見極めの精度を上げるためのポイントを解説します。

目次

①見極めの時間が消えている面接の特徴
②なぜ、話しすぎてしまうのか?
③社長の話は「2割」で十分
④質疑応答も見極めの材料になる
まとめ

まず、以下に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • ホームページに書いてある内容ばかり説明している
  • 応募者が「はい」「そうですね」しか言っていない
  • 面接後に「いい人だった気がする」が、その理由を言語化できない

一つでも心当たりがあれば、面接の時間配分を見直すサインです。これは「動機付け」に時間を使いすぎて、「見極め」の時間がなくなっている状態です。

動機付けとは、応募者に「この会社で働きたい」と思ってもらうための働きかけのこと。もちろん大切なプロセスではありますが、そこに面接時間の大半を費やしてしまうと、肝心の見極めが手薄になります。採用後に「こんなはずじゃなかった…」となる原因の多くは、実はこの時間配分の偏りにあります。

では、なぜ社長は面接で話しすぎてしまうのでしょうか。

一つは、自社の魅力を「全部伝えなければ」という責任感です。人事担当者がいない中小企業では、会社の魅力を語れるのは社長しかいません。だからこそ、会社説明、事業のビジョン、待遇面の説明と、伝えたいことが山ほどある。全部伝えないと応募者に正しく判断してもらえないのではないか、という不安が「話しすぎ」につながっています。

もう一つは、沈黙への恐れです。応募者が黙ると「何か話さなきゃ」と感じてしまい、無意識に自分が話題を埋めてしまう。

実は私自身、完璧主義なところがあり、長年の面接経験の中で「伝えたいことを全部漏れなく話さねば!」と一方的に喋り倒していた時期がありました(笑)でも、それでは見極めの材料が毎回不足するんですよね。

面接は尋問の場ではなく、対話をする場です。理想的な時間配分は、社長2に対して応募者8。つまり、社長の話は全体の2割で十分です。

では、その2割で何を話すか。ここがとても大切です。

ホームページを見ればわかる情報をなぞるだけでは、応募者の心は動きません。応募者は面接前にホームページをチェックしていることがほとんどですから、同じ話を繰り返しても「それはもう知っています」となってしまいます。

効くのは、ホームページには載っていない「ここだけの話」。

たとえば、創業時にどんな苦労があったのか。たくさんの失敗から何を学んだのか。あるいは、自社の従業員さんの自慢話でもいい。こうしたライブ感のある話を社長が先にすると、応募者は「この人、本音で話してくれている」と感じ、自分も心を開きやすくなります。

これは心理学で「自己開示の返報性」と呼ばれる現象です。こちらが先に本音を見せることで、相手も建前ではなく本音で話してくれるようになる。すると、応募者の口から出てくる言葉が「御社が第一志望です」のような表面的なものから、本当の転職理由や仕事に対する価値観に変わっていきます。

この本音こそが、見極めの最大の材料です。少しいやらしい言い方をすれば、相手に気持ちよく話してもらうことは「戦略」なのです。

2対8を意識するあまり、応募者の疑問を置き去りにしてはいけません。面接の最後には必ず質疑応答の時間を設けて、応募者が気になっていることをクリアにしてあげてください。

応募者にとって転職は大きなライフイベントです。「聞きたいことがあったのに聞けなかった」という不満が残ると、せっかく本音で語り合えた空気も台無しになってしまいます。むしろ、応募者がどんな質問をするかにも、その人の価値観や本気度が表れます。質疑応答の時間は、見極めの延長戦でもあるのです。

いかがでしたでしょうか。社長の言葉に力があるのは間違いありません。だからこそ、その力を「量」ではなく「質」に変えてください。

2割の自己開示で応募者の心をほぐし、8割は応募者に語ってもらい、最後に質疑応答で疑問を解消する。それだけで、面接の精度は驚くほど変わります。

次の面接から、ぜひ意識してみてくださいね。

もし、このブログを人事担当者の方がお読みになっていたら社長にもお伝えしてみてくださいね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。