こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

少しイヤらしい話かもしれませんが、今日は避けて通れない「お金」の話をさせてください。

リクルートが運営する「就職未来研究所」の調査によると、1人を採用するのにかかるコストは年々上昇しており、新卒・中途ともに約100万円と言われています。

「うちはハローワークしか使っていないから、そんなにかかっていないよ」

そう思った方、ちょっと待ってください。

広告費がゼロでも、採用コストはゼロではありません。求人票を書く時間、応募者と連絡を取る時間、面接に立ち会う時間。そして、採用後に定着するまでの教育時間。これらすべてに人件費が発生しています。

実は、採用活動には普段は見えづらい「隠れたコスト」が想像以上にかかっているのです。

今回は、社労士の立場から「採用コストを計算することの大切さ」についてお話しします。

目次

①採用コストはかさみ続けている
②見えないコストを見える化する
③「なんとかしなきゃ」から抜け出す
まとめ

次のような状況に心当たりはありませんか?

  • 求人票を出しても成果が出ない
  • 合同説明会に参加しても申込がない
  • 人材不足で既存の社員に負荷がかかり過ぎている
  • 社長自身、本来の仕事に集中できなくなっている

これらは費用として帳簿には載りません。しかし、会社の利益を確実に削っています。

たとえば、人事担当者が月に20時間を採用活動に費やしていれば、その分の人件費は本来の業務から差し引かれています。人手不足による残業代の増加も同じです。さらに、社長が採用のことで頭がいっぱいになり、営業や新規事業に集中できない時間は、直接的な売上機会の損失にもつながっています。

目に見える広告費よりも、こうした「見えないコスト」の方がはるかに大きい。ここに気づけるかどうかが、採用戦略の第一歩です。

では、具体的にどうすれば見えないコストを「見える化」できるのか。難しく考える必要はありません。次の4つの項目を、ざっくりで構いませんので紙に書き出してみてください。

求人広告費を月額で把握する

ハローワークだけなら直接費用はゼロかもしれませんが、求人サイトや紹介会社を使っているなら月額でいくらかかっているかを確認します。

担当者が採用業務に使っている時間を算出する

求人票の作成、応募者への対応、面接の準備と実施、これらを月平均で何時間かを見積もります。

既存社員の残業増加分を把握する

人手不足のしわ寄せで増えている残業時間を月平均で算出します。

社長自身が悩み、動いた時間を振り返る

採用について考えたり調べたりしている時間。これも立派なコストです。

採用は家計簿と同じです。つけていないと何にいくら使ったかわからないまま、気づけば赤字になっている。数値にすることで初めて「なんとなくの焦り」が「具体的な経営課題」に変わります。

数値化する最大のメリットは、改善すべきポイントが明確になることです。

たとえば、広告費は抑えられているのに担当者の時間コストが膨大であれば、求人票の書き方や採用プロセスの効率化に手を打つべきだとわかります。残業コストが突出していれば、早期に1人でも採用することの経済的なインパクトを数字で示すことができます。

「なんとかしなきゃ」という漠然とした焦りのままでは、打ち手が見えません。しかし「定量的な採用コスト」を把握することができれば、「ここを変えよう」という具体的な戦略に切り替わります。

採用コストは広告費だけではありません。担当者の時間も、現場の疲弊も、社長が眠れない夜も、すべてコストです。

私自身、長い店舗経営の中で従業員がまったく確保できない時期を経験しました。心配性な私は朝から晩まで悩み続け、後から計算してみるとその採用コストは想像以上でした。あの頃の自分に「まず採用コストを計算しなさい」と言ってあげたいです(笑)

だからこそ、まずは一度紙に書き出してみてください。見えないコストが見えた瞬間、採用活動は感情的な焦りではなく、根拠のある経営判断へと変わっていきますよ。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。