こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

「応募は来るけど、なんか違う人ばかり…」
「入社後に聞いてないとトラブルになった…」

一度はこんな経験、ありませんか?実は、応募の「質」を左右する意外な要素があります。

それが「就業規則」です。

「え、就業規則?採用と関係あるの?」と思った方もいるかもしれません。今回は、就業規則を整えることで良い人材が集まる理由とそのポイントを解説します。

そもそも就業規則とは?

就業規則とは、いわば会社の取扱説明書です。労働時間や休日、給与、退職のルールなど、働くうえでの約束事をまとめたものです。

法律上は従業員10人以上で作成義務がありますが、10人未満でも整備をお勧めしています。なぜなら、最近の求職者は会社をよく見ているからです。

なぜ、就業規則が「採用」に影響するのか?

求職者は「この会社、大丈夫かな?」という目線で会社を見ています。

特に転職経験がある人ほど、「入社してから話が違った」という苦い経験を持っていることが多いです。だからこそ、ルールが明確で透明性のある会社に惹かれます。

逆に言えば、就業規則が古いまま放置されていたり、面接で聞いた内容と実態が違ったりすると、それだけで不信感を持たれてしまいます。

では、具体的にどうすればいいのかを3つのポイントに整理してお伝えします。

目次

①求職者が見ているポイントを押さえる
②時代に合った制度を盛り込む
③作るだけでなく"見せて使う"
まとめ

ダメな例: 就業規則と労働条件通知書で内容が違う。

求職者は、求人票や面接で聞いた内容と、入社後の実態が一致しているかを見ています。「聞いてた話と違う」というのは、早期離職やトラブルの最大の原因です。

これを防ぐには、すべての書類で整合性をとることが大事です。具体的には、就業規則・求人票・労働条件通知書の内容が一致しているか確認してください。

たとえば、求人票には「完全週休2日制」と書いてあるのに、就業規則では週休2日制(月1回土曜出勤あり」となっていたらアウトです。こうした細かいズレが、入社後の「話が違う」につながります。

当たり前のことですが、まずはこの基本をしっかり整えることが信頼の土台になります。

ダメな例: 育児休業の規定が何年も前のまま。

育児休業や介護休業に関する法律は、毎年のように改正されています。男性の育休取得推進や、産後パパ育休の創設など、制度の選択肢はどんどん増えています。

また、副業解禁や在宅勤務も今や珍しくありません。コロナ禍を経て、働き方の多様性を求める求職者は確実に増えました。

こうした時代の変化に対応している会社は、求職者から「柔軟に働けそう」「長く続けられそう」と見られます。逆に、何年も前の規定のままだと「この会社、古いな…」という印象を与えてしまいます。

制度を整えることは、単なる法令遵守ではなく、会社の姿勢を示すメッセージでもあるのです。

ダメな例: 就業規則が棚の奥に眠っていて誰も知らない。

せっかく就業規則を整備しても、社員が存在を知らなければ意味がありません。普段から周知していなければ、面接や入社時に「会社のルール」を説明することもできません。

「当社はこういうルールでやっています」と堂々と見せられる会社は、それだけで信頼されます。たとえば、内定者に就業規則の概要を説明する時間を設けたり、入社時にしっかり読み合わせをしたりするだけでも印象は変わります。

そして、見せるだけでなく、実際に運用されていることも重要です。「規則には書いてあるけど、実際は違う」では本末転倒。整えて、開示して、運用する。この3つがセットで初めて効果を発揮します。

就業規則を「作らないと罰せられる面倒な書類」で終わらせてはもったいないです。

働きやすさや社内ルールを透明化し、求職者からの信頼を獲得する武器として活用しましょう。

整えて、開示して、運用する。基本に忠実な会社は従業員から信頼され、そして本気で働きたい質の高い人材が集まる好循環が生まれます。

「何年も就業規則を見直していないな…」という方は、ぜひこの機会に見直してみてくださいね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。