こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

「退職理由を教えてください。」

こう聞いて「成長できる環境を求めて…」と
返ってきたとき、本当にそれだけ?と感じたことはありませんか?

それが本音なら何も問題ありません。ですが、応募者が本当の理由を話してくれるとは限りません。しかもそれは、必ずしも意図的なウソではないのです。

面接での退職理由は、聞き方を変えるだけで返ってくる答えの質がまったく変わります。今回は心理学の視点も交えながら、本音を引き出すための面接テクニックをお伝えします。

目次

①なぜ退職理由では本音が出にくいのか?
②本音が見えない聞き方
③本音が見える聞き方
まとめ

心理学に「認知的不協和」という概念があります。人は自分の行動と気持ちに矛盾があると、無意識にもっともらしい理由にすり替えてしまいます。

「成長したい」と言いながら、実は今の環境への漠然とした不満を前向きな言葉に置き換えているだけのこともあります。いわゆる「ないものねだり」です。

逆のパターンもあります。

本当は給料への不満で辞めたのに、それをストレートに認めるのはプライドが許さない。すると頭の中で「成長の機会がなかった」に自動変換されます。本人はウソをついている自覚がなく、本気でそう信じ込んでいるのです。

つまり、やましさがなければスッと言えますが、後ろめたさや複雑な感情があると防衛本能が働き、本人すら気付かないうちに本音にフタをしてしまう。だから額面通りに受け取ると、入社後に「あれ、思っていた人と違うな…」というミスマッチにつながるのです。

面接は「取り調べ」ではなく「焚き火」

ではどうすれば本音を引き出せるのか。面接は「取り調べ」ではなく「焚き火」だと思ってください(笑)

取り調べのように矢継ぎ早に質問を浴びせれば、相手は防御に入ります。でも焚き火を囲むような温かい空気があれば、人はぽつりぽつりと本音を話し始めます。面接官の役割は鋭い質問をすることではなく、相手が話しやすい場をつくることなのです。

「辞めた理由は何ですか?」といきなり聞くのは、初対面の人に「弱みを教えてください」と聞くようなもの。相手は一瞬で身構え、事前に準備してきた模範解答を返して終わりです。

これは質問の内容が悪いのではなく、聞くタイミングと順番の問題です。まだ信頼関係ができていない段階で核心に切り込んでも、相手の心のドアは閉じたままです。

① アイスブレイクで安心感をつくる

面接の冒頭で「今日はどんなことでも気軽にお話しくださいね」とひと言添える。

たったこれだけですが、候補者の緊張度はまったく違います。「正解を言わなきゃ」というプレッシャーが和らぎ、素の自分で話しやすくなります。

② 過去の仕事を深掘りしてから聞く

いきなり退職理由ではなく、まず仕事の経験を丁寧に聞いていきます。

「前の会社ではどんなお仕事をされていましたか?」
「その中でやりがいを感じたことは?」
「逆に大変だったことは?」

こうして過去の体験を先に語ってもらうと、相手の表情は徐々にほぐれていきます。

そして、十分にほぐれた頃に「そんな中で、転職を考えたきっかけは何でしたか?」と自然につなげる。ここで「辞めた理由」ではなく「きっかけ」という言葉を使うのもコツです。「理由」は責められている感じがしますが、「きっかけ」はただの出来事なので答えやすくなります。

③ 面接官自身が自己開示する

「実は私も前職で同じように悩んだことがあって…」

こうした面接官自身の経験談が「この人も同じなんだ」「この人になら正直に話しても大丈夫だ」という安心感を生み、本音を引き出す呼び水になります。自己開示は相手の心を開くもっとも強力なカギです。

いかがでしたでしょうか。退職理由の本音は正面から聞いても出てきません。相手の過去に寄り添い、会話の温度をじっくり上げてから聞く。あなたが先に薪をくべれば、相手も自然と心を開いてくれます。

次の面接でぜひ「焚き火」を意識してみてください。面接官の仕事は緊張で凍り付くような場をつくることではなく、暖かい雰囲気、何でも語れる場をつくることだと思っています。

私自身、14年間の店舗運営の経験の中で300人以上の選考をしてきましたが、聞き方ひとつで相手の反応が全く変わることを何度も経験しました。

「うちで活躍してくれそうだな」と思ったのに入社後にギャップを何度感じたことか…。それは形式的な質問が多く、面接で相手の本音を引き出せていなかったからでした。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。