こんにちは!大塚@社会保険労務士です。
「ご家族は何をされていますか?」
「休日は何をして過ごしていますか?」
場を和ませようと、何気なく聞いたこの質問。実は、就職差別につながるとして厚生労働省が「配慮すべき事項」に挙げていることをご存じでしょうか?
今回は、面接で聞いていいこと・ダメなことの線引きについてお話しします。
なぜ「聞いてはいけない質問」があるのか?
面接は、いわば会社と応募者の「最初の握手」です。ここで不適切な質問をしてしまうと、応募者の心は一瞬で離れてしまいます。
私自身、過去に「ご兄弟はいらっしゃいますか?」と何気なく聞いたことがあります。悪気はなく、単に話のきっかけを作りたかっただけなのですが、後から「これはグレーな質問だったのか…」と冷や汗をかいた経験があります(笑)
今の時代、SNSで「あの会社の面接でこんなことを聞かれた」と拡散されるリスクもあります。たった一つの質問が、会社の評判を大きく左右しかねません。
では、何がOKで何がNGなのか?判断基準はシンプルです。
業務に直接関係があるかどうか
この一点に尽きます。業務に関係のないことを聞くと、それが就職差別につながる可能性があるため、厚生労働省は「公正な採用選考の基本」というガイドラインで配慮すべき事項を示しています。
目次
①本人に責任のない事は聞かない
②本来自由であるべき事は聞かない
③健康状態は業務上必要な事のみ
④まとめ
①本人に責任のない事は聞かない
以下は本人の能力や適性とは無関係であり、把握しないよう求められています。
- 家族の職業、続柄、健康、収入、資産
- 住宅状況(間取り、部屋数、持ち家か賃貸か)
- 生活環境、家庭環境
よくない質問: 「ご両親のお仕事は何ですか?」 「一人暮らしですか?持ち家ですか?」
これらは、本人がどうすることもできない事柄です。家族の職業や住宅状況で採用の可否には関係ありません。
なお、緊急連絡先や通勤経路の確認などは、採用決定後に必要な範囲で確認すれば問題ありません。あくまで選考の段階で聞かないということがポイントです。
②本来自由であるべき事は聞かない
憲法で保障される思想・信条の自由に関わる事項は、選考で把握してはいけません。
- 宗教
- 支持政党
- 人生観、生活信条
- 尊敬する人物
- 購読新聞、愛読書
- 労働組合、社会運動への参加
よくない質問: 「尊敬する人物は誰ですか?」 「愛読書は何ですか?」
「尊敬する人物」や「愛読書」は、一見すると人柄を知るための定番質問に見えます。しかし、これらは思想や信条を探る質問とみなされるため、避けるべきとされています。
例えば、「尊敬する人物は〇〇です」という回答から、その人の政治的傾向や宗教観を推測し、それを理由に不採用にすることは差別にあたります。だからこそ、そもそも聞かないようにする必要があるのです。
③健康状態は業務上必要な事のみ
職業安定法第5条では求職者の個人情報は「業務の目的達成に必要な範囲内」で収集することとされています。
よくない質問: 「持病はありますか?」 「通院歴を教えてください」
健康状態を広く聞くことは避けてください。ただし、業務に直接関係がある場合は例外です。
例えば、ドライバー職であれば視力や色覚の確認は合理的です。深夜勤務がある場合に「深夜帯の勤務に支障はありませんか?」と確認することも問題ありません。
ポイントは「なぜこの質問をするのか」を明確にし、業務との関連性を説明できるかどうかです。

④まとめ
いかがでしたでしょうか。
面接で聞いていいかどうか迷ったら、「この質問は業務に直接関係があるか?」と自問してみてください。関係がなければ、聞かない。これが基本ルールです。
とはいえ、現場では判断に迷う場面も多いと思います。私自身もこれまで何度も悩んできました。国の指針は守らなければいけませんが、大切なのは「なぜこの質問をするのか?」を丁寧に説明し、応募者の合意を得ることだと考えています。
適切な面接は、応募者との信頼関係を築き、入社後の定着にもつながります。ぜひ、自社の面接での質問項目を一度見直してみてください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

