こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

「期待をして採用したのに、長続きせずに辞めてしまった……」 一度はこのガックリと肩を落とすような経験があるのではないでしょうか 。

現在は深刻な人手不足もあり、「猫の手も借りたい」という焦りから、ついつい採用基準を緩めてしまいがちです 。しかし、焦ってミスマッチな人材を採用してしまうことは、会社にとって「未来への投資」どころか、大きな「負債」を抱え込むことになりかねません 。

なぜ「見極め」を誤ると、負の連鎖が始まるのか?

中小企業にとって、一人の離職が与えるインパクトは想像以上に甚大です。

  • コストの損失: 広告費や紹介手数料だけでなく、選考に費やした時間も失われます 。
  • 教育時間の無駄: 社員が時間を割いて教えたスキルも、本人が去ればゼロになります 。
  • 現場の士気低下: 残された社員には「またか……」という疲弊感が漂います。

採用は「結婚」に例えられますが、お見合いの席で外見や年収(条件)だけで決めてしまい、後から価値観のズレに苦しむケースは後を絶ちません。だからこそ、面接という「お見合い」の場で、相手の本質を見抜く力が必要なのです。

今回は、前回の記事でお伝えした「すぐ辞めてしまう人の3つの特徴」に対して、具体的にどのように見極めていけばいいのかのポイントを解説します。

目次

①履歴書に潜む他責思考
②条件の裏にある本音を探る
③過去の経験から逃げ癖を探る
まとめ

チェックすべきは、転職履歴の「一貫性」です 。職歴が多いこと自体が悪いわけではありませんが、それぞれの退職理由に共通点がないかを探ってください 。

すぐ辞めてしまう人は、矢印が内ではなく「外(会社や他人)」に向きやすい性質があります。

  • 他責思考の具体例: 「上司が合わなかった」「環境が良くなかった」「正当に評価されなかった」など、常に原因を周囲に求めるタイプです 。
  • 注意すべき表現: 「キャリアアップのため」という前向きな言葉を語っていても、よく掘り下げてみると、実は単なる現状不満からの逃げであるケースも少なくありません。

もし採用しても、何かの壁にぶつかった途端に「教えてくれない会社が悪い」と不満を撒き散らすリスクをはらんでいます。

志望動機を正確に見極める必要があります。条件の良い会社であればあるほど、その条件「のみ」に惹き付けられ、応募する人がいるのでその人の本質を探りましょう。

給与や休日などの条件重視で会社を選ぶ人は、より好条件のライバル会社が現れれば、躊躇なく去っていきます 。

  • 見極めのコツ: 労働条件以外の部分、特に「会社のビジョン」や「仕事内容」に焦点を当てて質問してみてください 。
  • ストーリーを語らせる: もし、ビジョンに共感したと言うのであれば、なぜそう感じるのか、本人の過去の体験(ストーリー)を交えて話してもらうことが有効です。

要は表面的なことはではなく、根っこの部分(ビジョン、志など)が一致していないと長く働き、活躍してもらうことは難しいということです。

本質的な「飽き性」や「逃げ癖」が隠れていないかを確認します。

これは職歴だけでなく、学生時代の部活動やアルバイト、趣味の継続性などにも表れます。職歴に関して言えば、すぐに辞めているかどうかよりも、数年ごとに転職を繰り返しているかに目を向けた方がいいです。

  • 継続性のチェック: 自分が選んだ「好きなこと」ですら、嫌なことがあるとすぐに投げ出してきた人は、理不尽なこともある仕事を長く続けられるはずがありません 。
  • 奇跡は起きない:「自社でのみ奇跡的に長続きする」という期待は、残念ながら捨てたほうが賢明です。

いかがでしたでしょうか。働き手がいないからといって採用基準を緩めてしまうと、自社のためになりません。やっと1人前に育ち、活躍を期待できるレベルになったところで退職願を片手に「お話ししたいことがあります」と社長室にやってくるのです。

猫の手も借りたいと焦る時こそ、基準を緩めがちですが、そんな時こそぐっと堪えて平常時と同様に見極めましょう。ぜひ、履歴書や面接の確認ポイントの参考にしてください♪

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。