こんにちは!
問い人材活力コンサルタント(社会保険労務士)の大塚です。

今冬は新型コロナウイルス感染症に加え、インフルエンザが同時流行しているようです。

私の子が通う小学校でもインフルエンザにより、3日間学級閉鎖となりました。

本日は従業員またはその家族がインフルエンザに感染した場合の会社の対応をお話しします。なお、この記事でお話しするインフルエンザは新型ではなく今冬流行している季節性のものとします。

会社は従業員の安全配慮義務を負っている

インフルエンザであるかどうかに関わらず従業員が体調不良を訴えている場合、会社は次の法律による安全配慮義務を負っていますので適切な対応が求められます。

労働契約法 第5条

 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働安全衛生法 第3条 第1項

 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。

会社は従業員の安全と健康について配慮をする義務がありますので、従業員とコミュニケーションをとった上で必要であれば休んで療養してもらう必要があり、業務に支障をきたすとしても無理な出勤を強要してはいけません。あるいは従業員が正常に業務を遂行できないにも関わらず出勤しようとする場合は療養を勧奨する必要があります。

就業制限について

ただの風邪なら多少無理をしてでも出勤は可能かもしれませんが、新型コロナウイルスやインフルエンザに感染した場合はどうすればいいの?ということで「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」で規定されている感染症ごとの就業制限について確認していきましょう。

項目新型コロナウイルス
2類相当感染症)
季節性インフルエンザ
5類感染症)
感染症法による制限
(本人が感染)
制限あり制限なし
感染症法による制限
(同居家族が感染)
制限あり制限なし
制限期間自宅:7日間かつ症状軽快後24時間
(8日目解除)
入院:10日間かつ症状軽快後72時間
(11日目解除)
制限なし
※2023年1月25日時点
新型コロナウイルス

本人または同居の家族が感染した場合、国や地方自治体が感染症法を根拠に就業制限を行うことができることになっています。従って会社はこの規定に準じ、従業員の出勤を停止させる必要があります。

就業制限期間の長さは症状の有無や本人の感染なのか同居の家族の感染なのかで異なっています。

インフルエンザ

就業を制限できる規定は存在しないため、国や地方自治体が感染者に対し就業制限をかけることはできませんので対応を会社が独自に決める必要があります。

従業員本人が感染した場合は、多くの会社は学校保健安全法の規定を参考に「発症後5日間が経過し、かつ解熱後2日間」の出勤を停止しているようです。

同居の家族が感染した場合は、家族の症状を確認した上で接触の程度も合わせて確認し、出勤を停止させる必要があるかどうか総合的に判断しましょう。

会社は賃金を支払う必要はある?

新型コロナウイルス

賃金はノーワークノーペイの原則により支払う必要はありません。

休業手当についても「労働基準法26条 使用者の責めに帰すべき休業」に該当しないため支払う必要はありません。そのため、従業員の希望により有給休暇で処理するケースが多いようです。

インフルエンザ

賃金はノーワークノーペイの原則により支払う必要はありません。

休業手当については医師の労務不能診断があれば「労働基準法26条 使用者の責めに帰すべき休業」に該当しないため支払いせずに出勤を停止させることができると考えられます。ただし、労務不能にはいたらないと医師が判断した場合や回復しても念のためしばらく休ませる場合は、休業手当の支払いが必要です。

【休業手当とは】

使用者の責に帰すべき事由により従業員を休業させた場合、使用者はその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない、とされています。

つまり使用者の都合で休業させた場合にはお給料を最低でも6割程度保証する必要があるということです。

他にも使用者の都合での休業は以下のようなケースがあります。

  • 親会社の経営難に伴う休業
  • 経営悪化に伴う業務量減少による休業
  • 会社、店舗の改装のための休業
  • 使用者による違法な解雇、出勤停止 など

本日はここまでです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!