こんにちは!
問い人材活力コンサルタント(社会保険労務士)の大塚です。

3月~4月は子供がいる家庭は卒業式・入学式、社会人は人事異動など人生における様々なイベントがあります。そして、会社においては退職や新規採用など従業員の入れ替わりが一番多い時期でもあります。

そこで本日は従業員を新規採用するにあたり、労働契約の重要性についてお話しします。

会社には労働条件通知の義務がある

会社には労働条件を従業員に書面で通知する義務があります。従業員を採用した場合、一般的には最低でも次のようなやりとりが行われると思います。

①「●●さん、当社で働いてください。」
②「〇月〇日から■■支店配属で、給料は月額△△円で、勤務時間は◎◎です。」

①が労働契約にあたる部分となります。労働契約は原則口頭でも成立します。ただし②の労働条件通知は必ず書面で行う必要があります。
この労働条件通知に関して、労働基準法では次のように定められています。

労働基準法 第15条第1項

 使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法(原則として書面の交付)により明示しなければならない。

労働基準法 第120条

  労働条件の明示をしていない場合、30万円以下の罰金に処する。

つまり書面での通知を怠った場合、法令違反となり罰金刑に処されてしまうのです。

そのため、労働契約そのものと労働条件の通知は別物として考える必要があります。

通知すべき労働条件

絶対的事項(例外なく通知が必要)
  • 労働契約の期間
  • 更新する場合の基準
  • 就業場所と業務内容
  • 始業時間、終業時間
  • 賃金(昇給、退職手当、賞与等を除く)
  • 退職、解雇に関する事項 など

相対的事項(決まりがあれば通知が必要)
  • 昇給、退職手当、賞与等に関する事項
  • 表彰、制裁に関する事項
  • 休職に関する事項
  • 従業員負担させる食費や作業用品に関する事項 など

このように通知すべき項目が法律で決められています。例外なく通知が必要なものと、会社に決まりがあれば通知が必要なものに分けられています。

例えば、退職手当は法律で支給が義務化されているわけではありませんので、支給するもしないも会社の自由です。ただし、支給する習慣がある場合は従業員への通知と就業規則への明記をセットで行う必要があります。

労働条件の通知方法

先述したように労働契約は口頭でも成立しますが、契約ごとですので書面で残しておくのがベストです。
ですので契約書としても兼用することできる「労働条件通知書 兼 労働契約書」での条件通知がおすすめです。
要は契約内容と通知すべき労働条件が網羅できていれば、一枚にまとめた方が管理が楽で従業員にとってもわかりやすいというわけです。

なお、原則は書面での通知が必要ですが平成31年4月1日からオンライン(電子データ)での明示も可能となっております。

本日はここまでです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!