こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

「この人、明るくて感じがいいな」と思って採用したのに、入社してみたら数か月で退職してしまった…。
そんな経験、ありませんか?

心理学のある研究結果によると、人はわずか7秒で相手を判断していると言われています。姿勢や声のトーン、話すテンポなど、雰囲気だけで印象を決めてしまう傾向があるのです。特に喋り方や見た目の印象が強い人ほど、そのイメージに引きずられてしまいがち。だから採用において見誤ってしまい、結果的にうちの会社に合わなかったというのは珍しい話しではありません。

面接において忘れてはいけないのは面接で見る応募者の姿は、たった数十分の「演出された一面」に過ぎないということ。

面接をしっかり対策して臨む人ほど、第一印象は磨かれています。

つまり、第一印象は信頼できそうで、採用においては当てにできない情報なのです。

なぜ、面接官は惑わされてしまうのでしょうか?

第一印象が強く残るのは、人の脳がわかりやすい情報を優先して処理するからです。「笑顔が素敵」「話しが上手」「元気がいい」などは、短時間で好感を持たせやすい特徴。

一方で、「静か」「慎重」「言葉を選ぶ」タイプは印象に残りにくい。でも実際に後者の人の方が現場で成果を出すケースも珍しくありません。

そこで、今回は特に注意したい4つのポイントをお伝えします。

目次

①高学歴=能力が高いと思い込まない
②明るさや話し上手に惑わされない
③姿勢や表情で判断しない
④感覚ではなく基準で判断する

「高学歴だから安心」と感じるのは危険です。学歴は努力の証ですが、入社後の成果を保証するものではありません。

「有名大卒なのに続かない」「高卒だけど誰よりも素直で努力する」そんな人、あなたの周りにもいませんか?

「一流大学を出てるんだから、すぐ戦力になるだろう」と期待して採用してみたら、結果、指示待ちになり、早期離職してしまう。あるいは、やけに高飛車で冷めていて、他の社員と合わずトラブルメーカーになってしまった…そんなケースもあります。

見極めるべきは素直にび続ける姿勢や、自主的に行動する力を持っているか否かです。

元気で話し上手な人ほど、社交的で仕事ができそうに見えます。でも、実際には話すのが好きなだけという場合もあります。

「この人は話しが上手いな」と感じたら、あえて少し沈黙をつくりましょう。そのときの相手の反応や、沈黙をどう扱うかに本当のコミュニケーション力が現れます。

私の経験では、聞かれてもいないことをよく喋る人は、社交的というより話すのがただ好きなだけというケースはよくありました(笑)

猫背や声の小ささで「頼りない」と感じても、単に緊張しているだけのことも多いです。面接官が笑顔で話しかけるだけで、相手の表情が和らぎ、言葉も自然になり、別人のように話しやすくなることもあります。

ある企業では「ハキハキしてないから営業や接客は無理」とある応募者を不採用にしたところ、後日別の企業で同じ応募者がリーダーとして活躍しているのを耳にした、そんな事例もあります。

面接を感覚で進めると、「感じがいい人」が高評価になりがち。しかし、好印象なのと自社に合うかどうかは必ずしも一致しません。

評価シートを用い、採用に関わる担当者全員が同じ基準で見ていく仕組みを作ることで、感情に左右されない面接が実現します。「感じがいい」ではなく、「求める人材要件に一致しているか」で判断することがポイントです。

第一印象は商品のパッケージのようなもの。どんなにデザインが良くても、中身が期待と違えばリピートはされません。

面接も同じです。

短時間で感じた印象に頼らず、「なぜそう感じたのか?」を一度立ち止まって考えるだけで、見極めの精度は格段に上がります。

印象を判断材料のひとつにとどめ、最終的には基準と事実などの定量的評価と合わせて判断する。それが、自社で長期的に活躍する人材を見抜く最大のコツです。面接は感覚ではなく、再現性のある仕組みで進めていきましょう。