こんにちは!大塚@社会保険労務士です。

求人票は、書き方ひとつで読み手の受け取り方が大きく変わります。内容そのものは悪くないはずなのに応募が来ない…。そんな相談をいただくことがあります。

そこで、前回は「人間関係編」についてお話ししましたが、今回はその労働条件編です。

たとえば、給与・勤務時間・休日は正確に伝える必要があります。数字で示すことができれば一層伝わりやすくなります。そして、更にその背景や根拠を伝えることができれば、求職者の興味を惹くことができます。

つまり逆を言えば、伝えることができなければ求職者の興味を惹くことはできないと言うことです。

ためらう理由として一番多いのは、そもそも求人票の中の情報が少なく、言葉足りずになっていること。

  • 給与の内訳が分からない
  • 転勤の範囲が読み取れない
  • 勤務場所が曖昧
  • 制度はあるけど実際に使えるか不明

こうした情報不足が、求職者のモヤモヤを生みます。

飲食店でたとえるなら、料理の味は悪くないのに、メニューに説明がなさすぎて注文されない状態です。食べてみればおいしいのに…というあの感じです(笑)

だからこそ、ネームバリューで大企業や一部の優良企業に勝てない中小企業の採用においては「条件をどう書くか」ではなく「どう伝えるか」 がポイントになります。

ここから、特に誤解を生みやすい5つのポイントを解説していきます。

目次

①給与
②休日
③勤務時間
転勤
⑤勤務場所
⑥まとめ

金額は相場から離れていなくても、その内訳や根拠が分からないと求職者は引いてしまいます。

悪い例:
「月給30万円〜(各種手当含む)」

良い例:
「月給30万円〜(固定残業10時間+資格手当含む)半年ごとの面談を基に年1回昇給があります」

このように内訳やその背景を示すだけで、求職者にはるかに伝わりやすくなります。

有休は制度があるだけでは不十分で「使える環境かどうか」を示す必要があります。数字はもちろん、連続取得の実績など、具体的な取得イメージを添えることで、「働き方を大切にする会社」という印象に変わります。

悪い例:
「有給休暇を取得しやすい職場です」

良い例:
「有給休暇を取得しやすい職場です。昨年度の消化率は60%で、年1回5日以上連続で取得できるよう取り組んでいます」

フレックス制度や時差勤務は魅力ですが、中小企業においては、求職者は運用実態が伴っているかの方を重視しています。たとえば、制度を活用している割合を示すことは制度の信頼性を示す強力な材料です。

悪い例:
「フレックス制度があるので柔軟に働けます」

良い例:
「フレックス制度があるので柔軟に働けます(コアタイム10時〜15時)。社員の6割が活用し、通院や家庭の都合の調整に利用しています」

転勤は求職者が最も避ける条件のひとつです。だからこそ、異動の範囲と転勤制度の背景の説明が欠かせません。会社としての意図を伝えることで、単なる異動ではなく成長のための仕組みとして理解されやすくなります。

悪い例:
「転勤の可能性あり」

良い例:
「経験値向上やジョブローテーションのため、年に1回県内の事業所への転勤の可能性があります」

主たる勤務場所を伝えた上で、変更の可能性がある場合はその範囲を明確にしましょう。主たる場所の明確化と例外の範囲を示すことで求職者は安心して応募できます。曖昧だと「入社後に話が違った」とトラブルの原因になります。

悪い例:
「本社または近隣事業所」

良い例:
「主な勤務地は本社。繁忙期のみ5km圏内の事業所へ応援をお願いする場合があります」

労働条件は、内容と同じぐらい「どれだけ誤解なく伝えられるか」 が大事であり、求人票の出来に直結します。そのためには「数字」や「制度の背景」や「その目的」をわかりやすく伝える必要があります。

良い人材を採用するため、会社によっては少し無理をして、たくさんの従業員に有利な制度を設けているケースがありますが、制度を増やすより、まずは自社のいまある魅力を正しく伝えることから始めてみてください。

伝え方ひとつで印象は驚くほど変わりますので、ぜひ今日の5つのポイントをチェックしてくださいね♪

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。